rhの読書録

とあるブログ書きの読書記録。

読書メモ

方舟さくら丸 / 安部公房

方舟さくら丸 (新潮文庫)作者:公房, 安部新潮社Amazon 安部公房の小説。第一印象だけで言うならば、やや読むのが苦痛な小説ではあった。あまり必要性の無い冗長なシーンが多かったように感じた。 しかし最後まで読み通すことで、相応の深みや重みを感じた。…

独学大全 / 読書猿

独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法作者:読書猿ダイヤモンド社Amazon 勉強をしたいな、という風潮が自分の中で高まっている。全然関係ないけど昔ネットミームで「大仏建立の機運が高まっている」っていうのが流行ったなぁ…

モナドの領域 / 筒井康隆

モナドの領域(新潮文庫)作者:筒井康隆新潮社Amazon佐々木敦『筒井康隆入門』を読む →その中に登場した「パラフィクション」の概念に興味を持ち、『あなたは今、この文章を読んでいる』を読む →筒井康隆がパラフィクションの実践(?)として書いた本書『モ…

国産RPGクロニクル ゲームはどう物語を描いてきたのか? / 渡辺範明

国産RPGクロニクル ゲームはどう物語を描いてきたのか作者:渡辺範明イースト・プレスAmazon 『ドラゴンクエスト(ドラクエ)』と『ファイナルファンタジー(FF)』。2つのRPGシリーズの歴史を振り返りながら、その物語表現の進化を辿る本。 著者の渡辺範明氏…

幽霊たち / ポール・オースター

幽霊たち(新潮文庫)作者:ポール・オースター新潮社Amazon ポール・オースターの、「ニューヨーク三部作」と呼ばれる初期作品の2作目。柴田元幸訳。 舞台はニューヨーク。主人公の探偵「ブルー」は、「ホワイト」という人物から、ある男の尾行を依頼される…

散華 / 太宰治

万年筆で字を書く、という趣味を久々にやりたくなり、インクとノートを買った。 さてどんなことを書こう。日記を書くのはブログでやってるし。 そこで何かの小説を書き写してみることにした。 昔、「小説家になりたい人は名文を書き写せ」みたいなことを書い…

考えるヒント / 小林秀雄

考えるヒント作者:小林 秀雄文藝春秋Amazon 評論家、小林秀雄によるエッセイ集。 本書との出会いは、確か高校生くらいの頃。家族の本棚に入っていたのを開いてみた記憶がある。 でも、紙面が真っ黒で(=漢字が多すぎて)全く読む気がしなかった。 それから…

一億三千万人のための『論語』教室 / 高橋源一郎

一億三千万人のための『論語』教室 (河出新書)作者:高橋源一郎河出書房新社Amazon 論語についての事前知識は、中国の昔の文章、という程度だった。孔子が関わっているかどうかもあやふやだった。 孔子といえば、中国の昔の思想家として、孟子とか荘子とか老…

ぼくらの戦争なんだぜ / 高橋源一郎

ぼくらの戦争なんだぜ (朝日新書)作者:高橋源一郎朝日新聞出版Amazon 戦争(主に第二次世界大戦)について書かれた詩や小説、教科書などを読みながら、戦争について考える本。 第一章「戦争の教科書」。日本の現代の教科書と第二次大戦中の教科書、近年のド…

世界でいちばん透き通った物語 / 杉井光

世界でいちばん透きとおった物語 (新潮文庫 す 31-2)作者:杉井 光新潮社Amazon どうやら話題になってるらしい、と前々から気になっており、たまには話題の本も読んでみるか、という気が起こったので手に取った。 核心的なネタバレはしないが、周辺的なネタバ…

あなたは今、この文章を読んでいる。 パラフィクションの誕生 / 佐々木敦

あなたは今、この文章を読んでいる。:パラフィクションの誕生作者:佐々木 敦慶應義塾大学出版会Amazon わたしは今、この文章を書いている。 この文章を書いている今の自分の状況を、言葉で表すなら、そうなる。 でも、書き終わった瞬間にその文章は過去にな…

笑犬楼VS.偽伯爵 / 筒井康隆 蓮實重彦

笑犬楼vs.偽伯爵作者:筒井康隆,蓮實重彦新潮社Amazon 主に筒井康隆の近著という理由で手に取った。 蓮實重彦のことはあまりよく知らなかった。 どちらかというと、堅苦しい文章で小難しいことを言うめんどくさそうな年長の批評家、というイメージだった。 自…

筒井康隆入門 / 佐々木敦

筒井康隆を読まなければなぁ、という気持ちが常にある。 なぜかといえばもちろん筒井康隆はスゴイからである。 どの小説を読んでも面白い。『虚人たち』のような実験的な作品。『文学部唯野教授』のように文学理論を解説する作品。はたまた『時をかける少女…

ガラスの街 / ポール・オースター

ガラスの街(新潮文庫)作者:ポール・オースター新潮社Amazon ポール・オースターの小説は結構前に『ティンブクトゥ』を読んだことがある。今回が2作目。rhbiyori.hatenablog.jp 柴田元幸といえばポール・オースター。そしてポール・オースターと言えばまず…

マンガ『ベルセルク』を再読 最終回予想など

ベルセルク 42 (ヤングアニマルコミックス)作者:三浦建太郎,スタジオ我画,森恒二(監修)白泉社Amazon マンガ『ベルセルク』が無料公開されていたので再読。途中からは手持ちの本や電子書籍で。younganimal.com 昔読んだ時は、ガッツのヒーロー的な活躍にば…

名著の話 / 伊集院光

名著の話 僕とカフカのひきこもり (角川学芸出版単行本)作者:伊集院 光KADOKAWAAmazon NHKの番組『100分de名著』で取り上げた本と、番組でその本を紹介した専門家を再び呼び、レギュラー出演者である伊集院光との対談を収めた本。 伊集院光は、あえてその本…

池澤夏樹=個人編集 日本文学全集 近現代作家集 Ⅲ

近現代作家集 III ((池澤夏樹=個人編集 日本文学全集28))河出書房新社Amazon 読みたくない本を読みたい、と思った。 あるいは、読みたい本を探して読む、という行為に限界を感じた、と言うべきか。 とにかく、自分自身では選ばないような本を読みたい気分に…

村上春樹の100曲 / 編著 栗原裕一郎

村上春樹の100曲 (立東舎)作者:栗原 裕一郎,藤井 勉,大和田 俊之,鈴木 淳史,大谷 能生立東舎Amazon 村上春樹の小説作品に登場する楽曲の中から100曲をピックアップ。楽曲の背景、小説上での用いられ方、そしてその含意・ニュアンスを解説した本。 巻末に、全…

文体練習 / レーモン・クノー 著 朝比奈弘治 訳

文体練習作者:レーモン・クノー朝日出版社Amazon とあるごく些末なエピソードを、手を変え品を変え、多種多様な99パターンの文体で書いた本。そういう本がある、ということは昔から知っていたが、手に取るのは初めて。 はっきりいって最初は読みにくかった。…

みみずくは黄昏に飛びたつ / 川上未映子 村上春樹

みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子 訊く/村上春樹 語る―(新潮文庫)作者:川上未映子,村上春樹新潮社Amazon 訊き手、川上未映子、語り手、村上春樹。小説家同士のインタビュー本。 『職業としての小説家』などでも語られていた創作論が中心的内容。様々…

フリースタイル言語学 / 川原繁人

フリースタイル言語学作者:川原繁人大和書房Amazon 表紙と本文をチラ見して、面白そうな本だなぁ、と思って手に取ったのだけれど、以前ポケモンの名前の研究でバズって、ライムスター宇多丸のラジオにも出ていた人だということに後から気づいた。 最近はラジ…

「坊っちゃん」の時代 / 関川夏央 谷口ジロー

坊っちゃんの時代 : 1 (アクションコミックス)作者:谷口ジロー,関川夏央双葉社Amazon 他のことにリソースを割くようになったのでこの読書ブログを書く時間が無くなり、書き方の感覚もだいぶ無くなってしまった。 読書は一応しているが熟読というほどでもな…

やがて哀しき外国語 / 村上春樹

やがて哀しき外国語 (講談社文庫)作者:村上春樹講談社Amazon 再読。途中何度も「この本読んだことあるかも」と思いつつ読み終え、読書記録サイトをチェックしたら2015年に一度読了していたことが判明。 既視感のある話が出てきても、別の村上春樹関連本の引…

ペット・サウンズ / ジム・フジーリ 村上春樹 訳

ペット・サウンズ (新潮文庫)作者:ジム フジーリ新潮社Amazon アメリカのバンド、ビーチボーイズが1966年に発表したアルバム『ペット・サウンズ』はロック史に残る名盤とされている。音楽雑誌が行う「ロックの名盤ベスト100」的な企画では、ほぼ確実にトップ…

しらふで生きる 大酒飲みの決断 / 町田康

しらふで生きる 大酒飲みの決断 (幻冬舎文庫)作者:町田康幻冬舎Amazon 酒。飲まずにはいられないもの。という自分は酒は飲まない。 理由は、自分のような人間が酒を飲みだしたらいよいよ終わりだな、という確信があるから。自己評価の低み。今ではすっかりぼ…

書き出し「世界文学全集」 / 柴田元幸

書き出し「世界文学全集」河出書房新社Amazon 小説の書き出しを読むのが苦手だ。 何の予備知識もないまっさらな状態で、文章を読み始めなければならない。与えられる情報はせいぜい表紙と著者名のみ。そこからその文章が何を伝えようとしているのかを汲み取…

ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論 / 千葉雅也 山内朋樹 読書猿 瀬下翔太

ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論 (星海社 e-SHINSHO)作者:千葉雅也,山内朋樹,読書猿,瀬下翔太講談社Amazon 自分はブログを書いている。いちおう10年以上。普段は別のブログをメインで書いている。このブログは読書感想用。数年間あまり本を読…

いつもそばには本があった。 / 國分功一郎 互盛央

いつもそばには本があった。 (講談社選書メチエ)作者:國分功一郎,互盛央講談社Amazon 哲学者の國分功一郎と、思想史学者の互盛央が、哲学や思想に関する本にまつわる記憶を中心に、様々なテーマで語り合う。 形式としては「往復書簡」に近いが、互いが互いに…

日本のジーパン / 林芳亨

日本のジーパン (光文社新書)作者:林 芳亨光文社Amazon 昔、リゾルトのジーンズ「710」を履いていたことがある。家族が筋トレしすぎて足が太くなって履けなくなったのでお下がりで貰った。 めちゃくちゃ履きやすかった。当時はリーバイス501ばかり履いていた…

増補改訂版「アニメ評論家」宣言 / 藤津亮太

増補改訂版 「アニメ評論家」宣言 (ちくま文庫)作者:藤津 亮太筑摩書房Amazon 普段アニメをあまり観ない自分が、アニメにまつわる本書を手に取ったのは、著者がラジオ番組『アフター6ジャンクション』に定期的に出演し、アニメについてトークするのをたびた…