rhの読書録

とあるブログ書きの読書記録。

しらふで生きる 大酒飲みの決断 / 町田康

しらふで生きる 大酒飲みの決断 (幻冬舎文庫)作者:町田康幻冬舎Amazon 酒。飲まずにはいられないもの。という自分は酒は飲まない。 理由は、自分のような人間が酒を飲みだしたらいよいよ終わりだな、という確信があるから。自己評価の低み。今ではすっかりぼ…

書き出し「世界文学全集」 / 柴田元幸

書き出し「世界文学全集」河出書房新社Amazon 小説の書き出しを読むのが苦手だ。 何の予備知識もないまっさらな状態で、文章を読み始めなければならない。与えられる情報はせいぜい表紙と著者名のみ。そこからその文章が何を伝えようとしているのかを汲み取…

ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論 / 千葉雅也 山内朋樹 読書猿 瀬下翔太

ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論 (星海社 e-SHINSHO)作者:千葉雅也,山内朋樹,読書猿,瀬下翔太講談社Amazon 自分はブログを書いている。いちおう10年以上。普段は別のブログをメインで書いている。このブログは読書感想用。数年間あまり本を読…

いつもそばには本があった。 / 國分功一郎 互盛央

いつもそばには本があった。 (講談社選書メチエ)作者:國分功一郎,互盛央講談社Amazon 哲学者の國分功一郎と、思想史学者の互盛央が、哲学や思想に関する本にまつわる記憶を中心に、様々なテーマで語り合う。 形式としては「往復書簡」に近いが、互いが互いに…

日本のジーパン / 林芳亨

日本のジーパン (光文社新書)作者:林 芳亨光文社Amazon 昔、リゾルトのジーンズ「710」を履いていたことがある。家族が筋トレしすぎて足が太くなって履けなくなったのでお下がりで貰った。 めちゃくちゃ履きやすかった。当時はリーバイス501ばかり履いていた…

増補改訂版「アニメ評論家」宣言 / 藤津亮太

増補改訂版 「アニメ評論家」宣言 (ちくま文庫)作者:藤津 亮太筑摩書房Amazon 普段アニメをあまり観ない自分が、アニメにまつわる本書を手に取ったのは、著者がラジオ番組『アフター6ジャンクション』に定期的に出演し、アニメについてトークするのをたびた…

批評王 / 佐々木敦

面白く読んだ本だけれど、なんだか感想を書くキーボードを叩く指が進まない。 「批評王」に批評されてしまう! という感じがする。 というのはあくまでもののたとえであって、実際に著者が直接殴り込んでくるとかそういうことを心配しているわけじゃない。絶…

ぜんぶ本の話 / 池澤夏樹 池澤春菜

池澤夏樹と池澤春菜が親子である、という事実は、『スティルライフ』を読み、『ケロロ軍曹』を観ていたネットオタクの自分としては、結構ものすごいことではあった。 が、イマイチ世間的に騒がれていない印象があった。両者の分野に結構な距離があったからだ…

1998年の宇多田ヒカル / 宇野維正

『1998年の宇多田ヒカル』を読了。著者のことはポッドキャスト番組『三原勇希 × 田中宗一郎 POP LIFE: The』で知った。ここ数年、読書から遠ざかっていた自分にとって主たるカルチャーの供給源は専らラジオやPodcastだった。1998年の宇多田ヒカル(新潮新書…

珈琲飲み / 中根光敏

かれこれ20年くらい、夕食後に1杯のドリップコーヒーを飲むのが習慣になっている。改めて考えてみると実に長い。最近は目覚めのインスタントコーヒーも日課になっている。 今年の2月、ふと思い立ち、粉末のレギュラーコーヒーではなく、初めて焙煎された豆の…

むらさきのスカートの女 / 今村夏子

暖かくなってきて活動的になり読書を再開。気になっていた小説を読む。今村夏子『むらさきのスカートの女』。著者の小説を読むのは『こちらあみ子』以来2作品目。ネタバレありの感想。 近所でよく見かけるむらさき色のスカートを穿いた女性と、それを観察す…

ライムスター宇多丸の「ラップ史」入門 / 宇多丸 高橋芳朗 DJ YANATAKE 渡辺志保

ライムスター宇多丸の「ラップ史」入門作者:宇多丸,高橋 芳朗,DJ YANATAKE,渡辺志保NHK出版Amazon 先日ヒップホップの歴史の本を読んだので、さらに続けて知るために手に取ったのが本書。 2018年1月にNHK-FMで放送されたラジオ番組「今日は一日"RAP"三昧」と…

文化系のためのヒップホップ入門 / 長谷川町蔵 大和田俊之

文化系のためのヒップホップ入門作者:長谷川 町蔵,大和田 俊之アルテスパブリッシングAmazon 正直に告白します。ずっとラップのことをよく出来たダジャレだと思っていました。ごめんなさい。 と、そんな自分がヒップホップのことを知るべくこの本を読んでみ…

ウィー・アー・ザ・ワールドの呪い / 西寺郷太

ウィ・アー・ザ・ワールドの呪い (NHK出版新書)作者:西寺 郷太NHK出版Amazon 西寺郷太のことはライムスター宇多丸のラジオ番組で知った。『アフターシックスジャンクション』で彼が担当する特集コーナー「洋楽スーパースター列伝」は例外なく面白いのでぜ…

タテの国 / 田中空

はてブで見かけたマンガ「タテの国」を一気読みしてしまった。自分にしては珍しく、ネットの評価を見る前に感想を書けそうなので書く。shonenjumpplus.com 「2001年宇宙の旅(wikiや映画紹介本であらすじだけ知ってる)」のオマージュであり、おそらく「世界…

哲子の部屋 Ⅰ: 哲学って、考えるって何? / NHK『哲子の部屋』制作班 國分功一郎

たまに哲学の本を読むが別に哲学に詳しいわけじゃない。 自発的に哲学の勉強をしているわけではないし、まして研究などというものとは無縁なので、一向に知識が深まることがない。今日も一般向けの哲学の入門を読んで、ああ面白いなと思ってそれで終わり。 …

ゴールデンカムイ(連載版)を読んだ感想

ゴールデンカムイ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)作者:野田サトル集英社Amazon 「となりのヤングジャンプ」で無料開放していた漫画『ゴールデンカムイ』。一週間くらい前に2日がかりで全部読んだ。 あれだけの作品なので咀嚼するのに時間がかかったが…

ティンブクトゥ / ポール・オースター

柴田元幸翻訳の小説を読んでみよう、とだいぶ前に買っておいたこの本。しばらくぶりに手に取り読み進めたら、ハマった。 (文庫版の)30ページあたりから、主人公であり犬の「ミスター・ボーンズ」の飼い主である「ウィリー」のことが、すっかり好きになって…

赤瀬川原平の名画読本 / 赤瀬川原平

絵画のことがわからない。正直に言って、さっぱりわからない。人はなぜ絵を描き絵を観るのか。 今まで絵画というものと無縁の人生を送ってきた。一度だけ、散歩中にたまたま見つけた「フランシス・ベーコン展」に入ったことがあるが、それとて、ある批評家が…

「自分」を生きるための思想入門 / 竹田青嗣

「自分」を生きるための思想入門 (ちくま文庫)作者:竹田 青嗣発売日: 2005/12/01メディア: 文庫 書きたいことはある。いつもある。 でも、こんなことを書いていいのか?と躊躇する。 なぜか。 そりゃあ一応まかりなりにも人目に触れる可能性のある文章だから…

「妹を救う物語」としての『鬼滅の刃』と『ダンジョン飯』の比較

ダンジョン飯 10巻 (HARTA COMIX)作者:九井 諒子発売日: 2021/02/13メディア: Kindle版 『ダンジョン飯』10巻を読む。キメラになった妹を救う物語がいよいよ佳境に入っているわけだが、よく考えたらコレって『鬼滅の刃』と同じじゃん。気づくのが遅い。鬼滅…

箱男 / 安部公房

箱男 (新潮文庫)作者:公房, 安部メディア: 文庫 安部公房による小説。昭和48年に刊行。 本作の登場人物(?)である「箱男」は、ゲーム『メタルギアソリッド』に装備品として登場する「ダンボール」の元ネタとされている。 そんなメタルギア経由で手に取った…

風の歌を聴け / 村上春樹(再読)

風の歌を聴け (講談社文庫)作者:村上春樹発売日: 2016/07/01メディア: Kindle版 村上春樹のデビュー作。29歳の「僕」が、21歳だった1970年の一夏を回想する小説。というのがとてもざっくりとしたあらすじ。 作者自身も執筆当時29歳だったという。なので発表…

『風の歌を聴け』を再読(する予定)

本屋でふと『風の歌を聴け』を手に取り最初の方を再読。断片的な章を連ねた小説だ。風の歌を聴け (講談社文庫)作者:村上春樹発売日: 2016/07/01メディア: Kindle版rhbiyori.hatenablog.jp 加藤典洋氏が『村上春樹 イエローページ』の中でこの小説の時系列を…

読書日記 「中動態の世界」、「こちらあみ子」、カフカなど

読書のペースが落ちると読書ブログの書き方も忘れてしまいがち。大変よろしくない。 というわけで前回の記事以降の読書事情について、かなりフランクな感じで書いていこうと思う。 数ヶ月前に読んだ「中動態の世界(國分功一郎)」。学術的で大変難解な本。…

ラオスにいったい何があるというんですか?紀行文集 / 村上春樹

ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集作者: 村上春樹出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2015/11/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (32件) を見る 村上春樹の最新紀行文集、つまり旅行記をまとめたもの。 わりと前に衝動的にkindleで買っ…

とにかくうちに帰ります / 津村記久子

とにかくうちに帰ります(新潮文庫)作者: 津村記久子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2016/03/18メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 会社員たちの日常。そして大雨の中の帰宅風景を書いた短編集。大きなドラマはない。人は死なないし恋愛もしな…

スタジオパルプ / 久米田康治

スタジオパルプ 1作者: 久米田康治出版社/メーカー: 白泉社発売日: 2018/05/31メディア: コミックこの商品を含むブログ (3件) を見る 久米田康治が白泉社の雑誌「楽園」に連載中の作品。電子版がなかったので本で購入。巻頭カラーページが主人公のグラビア風…

生者と死者―酩探偵ヨギガンジーの透視術 / 泡坂妻夫

生者と死者―酩探偵ヨギガンジーの透視術 (新潮文庫)作者: 泡坂妻夫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1994/10/28メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 19回この商品を含むブログ (39件) を見る 以前『アメトーーク!』の読書芸人で紹介されていた小説。帯分によ…

ずぼら瞑想 / 川野泰周

ずぼら瞑想作者: 川野泰周出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2018/04/05メディア: 単行本この商品を含むブログを見る 瞑想やマインドフルネスに興味がある人は多いのではないかと思う。かくいう自分もそのひとりだ。 かつては宗教的な精神修行の一環として行わ…