- 作者: 佐藤友哉
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
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面白い小説の条件の一つは、それを読んで自分も何かを書きたくなるような小説であるという。
だとしたら、この小説はとても面白い小説だったことになる。僕にとっては。
一言で言えばベタである。いまどき私小説かよ!って位に主人公の設定を佐藤友哉本人に寄せてある。
そしてストーリーは、小説を書けなくなった小説家がまた書けるようになるまでの、再生の物語である。島崎藤村もびっくり。
これまた典型的自意識過剰の主人公(なにせ全編通して名前は「僕」だ)は、自分の境遇を小説的状況であると捉えており(メタではない)次々に到来する「物語的救い」を否定する。一周回ってベタである。
ではなぜそんな小説が面白いのか。僕に響くのか。
それはわからない。わからないぜ。わからないんだぜベイビー。へへへ。
いかんせん専門家でも無い僕には印象論しか語れない。
それでもあえて印象論を語るとすれば、それは「僕」が最後にたどり着いた救い。この小説で最もベタな救い。それゆえ描くのが最も難しい救いを描くための道のりだったのではないかと思われる。
そう。萌えっ子も心の闇もトラウマも簡単に調達できてしまうこの時代。フツーのことをフツーにいっても何にもならないこの世界。
だからこそ佐藤友哉はフツーを求めたのではないだろうか。
というような読みはフツーにすぎる気もするがあまり気にしない。全く気にしない。
あと、英雄度を上げるにはひたすらやりこんで称号取るのが一番だよ。CO-OPSなら尚良し。