rhの読書録

読んだ本の感想など

テースト・オブ・苦虫(8)/町田康


 アトレ恵比寿にある本屋で町田康のサイン会があると聞いたので行ってみたのだが、開始一時間半前にして整理券がお終い。ってそれが普通なのか?

 仕方ないのでフツーにこれを買って、ついでにサイン中の町田先生をチラ見して帰ってきた。確かに存在感があった。と同時に、どこか小動物的神経質さを漂わせていたような気がする。髪型は、ちょっと前の「もったり白髪混じり」では無く、ロッカーっぽいミドルのナチュラルヘアーだった。サインを貰う人の中には明らかに小学校高学年と思しき女の子。読むのか。面白いのか、町田康。よく考えれば「猫にかまけて」とか齋藤孝の紹介なんかで読む機会もありそうではあるが。

 内容の方はというと、相変わらず虚実入り混ぜた、というか九割虚のエッセイ。相変わらず何の役にも立たない。それがいい。

 というかもう、そういう紋切り型の感想を書くこと自体が完全なる野暮なのだけれど、くだらなさ、バカバカしさを追求することで生まれるものがある。

 個人的には謙譲の件とレッテル貼りの件がツボに入って笑った笑った。今後は読売本誌でより角のとれたエッセイを連載しているが、その諧謔味はますます冴えて衰えるところを知らない。ほんたうにすばらしい。