- 作者: 玄侑宗久
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あらすじ
「おがみや(いわゆる霊能力者)」と呼ばれたウメさんは自分の死ぬ日を予言し、そのとおりに死んでいった。僧侶・則道は、ウメさんや妻・圭子、ウメさんと親しかった徳さんと関わる内に、生と死の中間の世界、中陰を見出す。
うーん、ヘタなあらすじ。
玄侑宗久、という人を知ったのは、『禅的生活』という本を手に取ったから。
- 作者: 玄侑宗久
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
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禅。イイ。ロハス。オシャレ。というようなイメージがあったりなかったりして読んだのだが、正直言ってそれほど覚えていないのは何故だろう。多分思っていたほどぶっ飛んでいなかったからだろう。
僕の理解する限りでは、仏教とは「苦しみ」と「欲望」についてオシャカサマが考えたのが始まりで、全ての苦しみは欲望が原因なので、欲望を滅して正しく生きましょうというのが教えなのだと思う。ずいぶんザックリしているが。
で、正しく生きるためのアプローチとして座禅などの修行をしましょう、というのが禅であるらしい。
しかしこの小説は宗教としての禅がテーマというわけではない。
一口に言ってしまえば、死んだ人に対して、生き残った人は何が出来るのか、というのが本書のテーマだろう。
仏教徒である則道にも、死んだ後のことはわからない。しかし、例えわからなくても、人が死ねば弔わねばならない。作品の中では、死者を正しく弔い成仏するために必要なのは、生きている人がその人の死を受け入れ納得することであるというように描かれている。こういう書き方をしてしまうと身も蓋もないのだけれど。
そして、生きている人がその人の死を受け入れるためには、それぞれに違った解釈、文学的用語でいうところの物語が無ければならない。「死んだら天国に行けますよ」とか「死んだら物質に還元されますよ」だけでは不十分なのだ。その一例として作者は、お葬式で読むお経が、その人の人生に即してその都度書かれる部分があるということを挙げる。
そういった弔いのあり方、さらに一種の霊能力者であるウメさんや、徳さんの経験した「心霊体験」なども取り込んで物語として昇華しているのだから、芥川賞を取るのも納得。