- 作者: 高橋源一郎
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2002/01
- メディア: 単行本
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久しぶりに、面白すぎて書くことが思い浮かばない。ついでに原因不明の頭痛を絶賛患っているため、ますます書けない。ってそれは個人的な事情。
とにかくなんでもいいから書こう。
世界観としては、『日本文学盛衰史』と同じに読める。(執筆当時の)現在と明治時代が奇妙に混じり合う。夏目漱石や森鴎外といった文豪たちが、なんの説明も無く現代の風俗の中で生活している。でも時代設定は明治。って書いていても意味がわからない。ちょっと最初の方を引用してみる。
漱石は森田草平が手渡した『噂の真相』一月号の表紙を眺めた。そこには大きな活字でこう印刷されていた。
「スクープ! 森鴎外と樋口一葉の修羅場の『同棲生活』」
この作品の中の明治には、1979年3月に創刊し2004年4月に休刊となったはずの雑誌『噂の真相』が存在しているのである。そういうものだと思って読むしかない。
また、作中には、実際の時代背景とは異なる描写がある。らしい。なぜ僕にそれがわかったかというと、「ここ、時代考証間違ってるよね?」というようなツッコミが、なんと作中でなされていたからである。スゴい小説だ。
さらに今作では、こういったいわば「ニセ明治」の章と、「現代」の小説家・タカハシの元に森鴎外・夏目漱石といった明治時代の小説家が次々に現れるという章が、交互に挿入される。「ニセ明治」と「現代」の森鴎外たちはどうやら同一人物らしいが、そのことは明示されない。明治だけに、と言いたくなった。我慢できなかった。
なぜそんなにややこしい設定になったのか。説明的な説明をするならば、「日本文学の起源と現代を接合するため」とでもいえばいいのだろうか。もっと言うならば「作者本人が、日本文学というものと、その歴史について考えるため」だとか。ぶっちゃけたことを言ってしまうと、「作者の実体験を生かすため」かもしれない。
しかしそんなことはどうでもよくなるくらいの怒涛の恋物語が繰り広げられたりもする。真っ直ぐである。ど真ん中ストレートである。いや、鋭く深く落ちるフォークボールかもしれない。セカチューも真っ青である。読んでないけど。
恋愛はコワい。一つの思いが、人生を変えてしまったり決めてしまったりする。
でもなんとなく、この世の中の表面上は、恋愛なんて無いよ?みたいな感じに表面上は取り繕っている。もしくは、「恋愛なんて学生で終わりだよ?」みたいな。本当は全然そんなことはないのに。
そんな恋愛、もしくは性愛と言ってもいいけれど、そんなようなものと真っ向から取り組んで、ずががががっと深いところまで掘り進んでしまったのがこの小説。の、要素の一部分。それだけでもすごいのに、まだ一部分。
もっと知りたい人はぜひ読んでください。っていうか僕はもういっぱいいっぱいです。もう書けません。なんだか頭がぐらぐらします、半井先生。