- 作者: 小田嶋隆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/12/04
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小田嶋隆の最新コラム集。ポエム集ではない。断じてない。そして相変わらず面白い。
ここで言う「ポエム」というのは、単なる「詩」という意味ではなく、「ちょっと恥ずかしい詩のようななにか」のことである。いるでしょ?ブログとかTwitterとかフェイスブックにそういうの書く人が。
正直に申し上げると、僕はそういう人たちを冷ややかな目で見ていると同時に、ほんの少しだけ、うらやましかったりする。自分自身の言葉に酔っている様を臆面もなく他人にさらけ出せる程のハートの強さは、僕にはない。まぁそれはおいといて。
小田嶋隆は、今世紀に入ってから、日本社会全体に「ポエムな」言葉が蔓延しつつある、と指摘する。そして、震災のときテレビで繰り返し流れた金子みすゞの詩や、相田みつをの詩(なのか?)をキャッチフレーズに掲げた野田佳彦が首相になったことなどが、ポエム化の流れを完成させた、とも。
個人的にはこの「ポエム化」の概念は、斎藤環氏が近年提唱している「ヤンキー」の概念と近しいものがあるのではないだろうかと感じる。
- 作者: 斎藤環
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/06/30
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『ポエムに万歳』というタイトルは、総ポエム化しつつある日本社会と、それを見て「お手上げ状態」である著者、という二つを表している、とラジオで小田嶋隆自身が語っていた。
ポエムな言葉は、感情的であり、黙示的でもある。それを政府やマスコミまでが濫用しているというありさま。果たして日本は大丈夫なのか?と、僕みたいなもんでもちょっと不安になってくるのである。
ポエムの他にも、オリンピックや体罰問題、食品偽装問題、はては「森ガール」まで、「誰もが感じていたけど言葉にできずモヤモヤしていたこと」を、軽妙かつ鮮やかに言語化していてすばらしい。ページをめくるたびに「はへー」と感嘆が漏れ開いた口が塞がらなくなる、そのくらいすばらしい。