『日本辺境論』を再読。
- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/11
- メディア: 新書
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日本が太平洋戦争で泥沼の戦いへと突き進んでいったのは、軍部に『そういう空気』が醸成されていたからであり、戦後に『私が戦争を押し進めました』と名乗りを上げた者は一人もいなかった、らしい。
本当にそうだったのか、僕にはわからない。
でも、ふと自分の日常を見渡してみると、「主体」みたいなものが見当たらない、ということに改めて気づく。
学校も、社会も、「誰かに押し付けられたルール」と「仲間内での馴れ合い」によってものごとが進んでいく。そこに「信念」「理念」「思想」「信条」のようなものは無い。無いというか、そういうのはあくまで「タテマエ」ということになっている。はたして、本気で「建学の理念」だとか「創業者の精神」に忠実たらんとしている人間が、日本社会に何パーセント存在するだろうか。
そのような「空気優先主義」とでも呼ぶべきものには、いい面も悪い面もある。少なくとも、日本という国が辺境の小国として生き残っていくための生存戦略として有効だったことは間違いない、というのが本書の主張である、というのが僕の解釈。
なんとなーく、僕が大学だとか「就活」だとかいうものにうまく馴染めなかったのは、そういう空気優先主義に馴染めなかったからかなー、とも思うが、本当のところはどうだかわからない。