最近このブログに読書メモを書くのが辛い。なぜかと考えてみるに、ついつい「メモ」を超えたことを書きたくなってしまい、ハードルが上がってしまって書くのが難しくなっているんじゃないかと思われる。だから今後はあくまでもメモ、という体裁をキープしていきたいところ。
そんな感じで今日は『大人にはわからない日本文学史』。
- 作者: 高橋源一郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/06/15
- メディア: 文庫
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テーマとしては、同じく高橋源一郎の『日本文学盛衰史』と似通っているところが多い。樋口一葉や石川啄木が出てくるところなんか特に。しかし本書は講演の文字起こしであるため、高橋源一郎の小説における難解さと比べれば、圧倒的にわかりやすい。そして出版が2009年であるため、引用される作家は綿谷りさ、中原昌也、岡田利規、川上未映子、前田司郎など、最近の名前が並んでいる。
前書きで語られる本書の目的は、過去と現在の文学作品を引き比べて、「文学史」について考えてみること、だそう。「文学史」というものへの懐疑を述べつつ、結果的にこの本は「文学史」について学べる本にもなっている、というのが面白いところ。
例えば、近代短歌には「『私』の獲得」から「モノ化した言葉」へ、そして「玩具としての言葉」を経て「棒立ちの私」へという流れがあり、文学もまた短歌が辿った流れとパラレルである、というあたりは、すごく説得力があると感じた。どういう意味か知りたい人は是非自分で読むべし。
他にも、近代文学百年の歴史において生じたトピックや、「そもそも本当に近代文学の歴史は百年なのか?」といった話まで、かなりわかりやすく語られている。
個人的には、ちょっとわかりやす過ぎて逆に説得力が無いかな、と思わないでもないが、だからといってちゃんと内容を把握しきれたのかというとそうとは言えない。っていうか、本って一回読んだだけじゃわからないし、読んだ後でいろいろ考えてみて初めてわかることもあるでしょう。って誰に対して言ってるんだろう?