津村記久子のエッセイ集『やりたいことは二度寝だけ』を買って読んだ。
- 作者: 津村記久子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/06/19
- メディア: 単行本
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やりたいことは二度寝だけ 津村記久子 講談社
氏の、と呼べばいいのか、著者の、と呼べばいいのかいつも迷うけれど、ここでは親しみも込めて、彼女の、作品では、『ポトスライムの船』『君は永遠にそいつらより若い』『ミュージック・ブレス・ユー!』などを読んだ。どれを読んでも外れナシ、というなかなか稀有な作家だと思っている。
上の講談社の公式ページにも書かれている通り、各エッセイのテーマはありていに言って「どうでもよい」ものが多い。
まず最初のテーマが、インターネット上のサーチエンジンを利用したキーワード検索について。それも、特に変わったワードを検索しているわけでもない。ネット検索なんで、今やみんなが普通にやっていることである。
他にも「いいノートを見つけると使う当てもないのに買ってしまう」だとか、「年をとるたびに縁起を担ぎたくなってくる」だとか、「オウムの一種のヨウムという鳥を飼ってみたい(飼っている、ではなく」だとか、挙句の果てには「マルチーズって、チーズの名前みたいだよね」というような話が続く。
しかしだからつまらないかというと、もちろんそんなことはない。確かにテーマ自体は、専門用語で言うところの「チラ裏」レベルだが、むしろそういった日常の中の機微をすくい取ることこそこの作家の真骨頂。お家芸、というやつである。
また、自分がどのように小説を書くか、という部分にも触れている。Wikipediaにも書かれていることだが、日中は会社に勤務し、家に帰って一旦寝てから深夜に起きて小説を書くらしい。また、日常的にメモを取って執筆に利用しているそう。ちなみにそのメモには、仕事中に出る、使えなくなった紙の裏側等を使用しているらしい。そんなものを使う理由は”市販のノートがあまりにも眩しいから”。庶民派である。
ただまぁ、津村記久子という作家の主な読者は、彼女と同年代の、似たような境遇で働く女性であると思われるわけで、それ以外の人が楽しめるかというと、なんとも言えない所ではある。わりと年下の男である僕は十分楽しめたし得るものがあったと感じたけれど。