rhの読書録

読んだ本の感想など

小田嶋隆のコラム道/小田嶋隆

小田嶋隆のコラム道

小田嶋隆のコラム道


 小田嶋隆、という人を知ったのは、日経ビジネスオンラインの連載を読んでからだ。
 この連載コラム「ア・ピースオブ・警句」の記事は、ネットで話題を呼ぶことが多い。もっと直截に言えば、はてなブックマークの上位に上がってくることが多い。そこで目にして読んで、あら、面白いじゃないの、と思った。もっと正確に言えば、むちゃくちゃ面白いじゃないの、と思った。何故かオカマ口調で思った。嘘。


 で、この本『小田嶋隆のコラム道』を読んで、まず面白いと思ったのは、「コラム」と「それ以外の記事」の違いについて。
 コラムという単語の本来の意味は、英語で「かこみ・枠組み」といった程度の意味。そこから、新聞・雑誌というような媒体に掲載される、ニュース以外の、個人による記事を指すようになった。
 コラムの存在意義は、その媒体の意見・意向とは「別枠」であるということ、らしい。
 新聞・雑誌のように、ある程度の公共性を持った媒体に掲載される都合上、コラムには、ある程度の常識というものが求められる。
 かと言って、ただお行儀よく書けばよいというものでもない。それでは別枠である意味が無いからだ。
 よって、ある程度の常識を持ちつつ、同時に「独自」なものを持っていることが、よいコラムの条件となる、そうな。本書の言葉を借りれば「飛距離とミート。コツンと当てつつフルスイングってやつだ」。


 他にも、「コラムとはなにか」とか、「コラムを書く難しさ」といったテーマのコラムが、全部で14章。どれも、コラムにとどまらず、文章を書くこと全般についての論考としても読める。
 一流のコラムニストだけあって、全編、非常に読みやすい、リーダビリティの高い文章でありながら、鋭い批評性を持っている。
 批評性。そう、キーワードは批評性である。わかりやすい文体に騙されてはいけない。小田嶋隆はいっぱしの批評家なのである。
 というような、「〜に騙されてはいけない」式の常套句に騙されてはいけない。
 自分でも、何を言いたいのかわからなくなってきた。
 そもそも僕のような名も無き一ブロガーが、小田嶋氏を「いっぱしの」などと偉そうに言うこと自体、お門違いなのである。そんなことはわかっている。わかっていて書いたのである。
 なぜか。なんか楽しいから。いつになく、書くのが楽しいから。多分、この本のおかげだと思う。