rhの読書録

とあるブログ書きの読書記録。

Dr.スランプ/鳥山明

 つい最近『ペンギン村に陽は落ちて』という小説を読んだ。ペンギン村とは、あの有名な鳥山明のマンガ『Dr.スランプ』に登場する、あのペンギン村のことである。作中には則巻千兵衛やDr.マシリトなど、おなじみのキャラクターが登場するが、原作とはイロイロとキャラクター性が異なっている。パロディともオマージュとも二次創作ともちょっと違う、不思議な感じで書かれた文学作品である。

ペンギン村に陽は落ちて (ポプラ文庫)

ペンギン村に陽は落ちて (ポプラ文庫)


 その小説を読んだのはいいのだが、よく考えたら僕は元になった方のDr.スランプを読んだことがない。年齢的にはドラゴンボール世代だし、そもそもマンガをよく読む子供ではなかった。平成になってリメイクされた方のアニメなら見たことがあるが。
 そこで改めて、Dr.スランプのコミックを読んでみることにした。というか、読んだ。ら、非常に面白かった。
 まず、ネットでもよく言われていることだが、初期のアラレちゃんは結構可愛い。普通に美少女である。リメイクアニメの方では、千兵衛はアラレちゃんを美女に作ろうとしたのに雷で失敗して三等身になったという設定だったが、原作では特に失敗したという設定は無い。
 初期以外でも、アラレちゃんは意外に知的な印象。アニメだと、声のせいもあってかものすごい「アホの子」みたいに感じるが、言動や行動だけを見てみれば「破天荒」とでも言った方がしっくりくる。
 マンガとして見ると、画力がムチャクチャ高いのはもちろんだが、ギャグマンガとしてのクオリティが高いのにも驚いた。アニメなどを見ててっきりほのぼの系漫画なのかと思っていたら、メタなネタやブラックなネタ、編集者や他の漫画家イジリなどのいわゆる楽屋オチなど、手の込んだギャグが多く、しかもそれらをサラッとやっている。赤塚不二夫あたりをよく研究して書いていたのではないかと想像する。
 ありがちな表現だが、本当に今読んでもほとんど古さを感じない。特に中盤あたり。とても80年代前半に描かれたマンガとは思えない。読んだことが無い人はゼヒ一度読むべし。
Dr.スランプ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

Dr.スランプ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)