安倍政権の支持率が高いのはなぜなのだろう。景気がよくなっている(気がする)おかげだ、というような説明がなされることもあるが、それだけではない気がする。
多くの国民が、「強い日本」を求めている。そして、その「強い国」のビジョンを実際に提示してみせたのが安倍晋三だった。だから人気なのではないか。そんな気がする。
強い国を目指す。それ自体悪いことではない。しかし安倍政権のやり方には、端々に強権的な面が見られる。「強い」のと「強権的」なのは、全然別である。
強権的な人は、「黙ってオレのいうことを聞け」と言う。あまつさえ「オレを敬え」と言う。僕はそーゆーヤツが大嫌いなので、安倍政権のことも嫌いだ。そして、そんな安倍政権を受け入れている社会全体に言い知れぬ不気味さすらを感じている。
でもそれは、友達が極度に少なくインドア派な僕の、純然たる被害妄想なのかもしれない。もしかすると安倍晋三は、「私に任せればモウ、ダイジョーブ!」と、ダイジョーブ博士のように優しく僕らに語りかけてくれているのかもしれない。ってそれはアカンやつや。
この本『街場の憂国会議』では、9人の著者が各者各様に安倍政権への異議申立てをしている。お互いの意見を申し合わせたりしたわけではなく、それぞれがそれぞれの意見を述べている、という点が、安倍政権の強権的な感じとは対照的である。
- 作者: 内田樹,小田嶋隆,想田和弘,高橋源一郎,中島岳志,中野晃一,平川克美,孫崎享,鷲田清一
- 出版社/メーカー: 晶文社
- 発売日: 2014/05/01
- メディア: 単行本
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もし安倍政権の人がこの本を読んだら、どんな反応をするのだろう。多分、「批判は自由ですからね」などと言ってお茶を濁すに違いない。でも彼らは、状況さえ許せば、自分たちに対する全ての批判を封殺したいと願っている、ように見える。なにせデモをテロというような人たちである。百田尚樹あたりは最初から「この売国奴が!」と罵るかもしれないが。
本書は、そんな安倍政権のイケイケドンドンな空気に対して水を差す本である。もしかして、もしかすると、この本に書かれていることは安倍政権への単なるやっかみなのかもしれない。そうだとしても、このような本がどこからも出版さえされないような、そんな封鎖的な国に日本がなってしまわないだろうかと、僕もまた憂いているのである。ほんとに。