- 作者: 長嶋有
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2014/11/05
- メディア: 文庫
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妄想、というと、くだらないものだ、と思いがちである。
実際には、必ずしも全ての妄想がくだらないわけではない。大抵の妄想がくだらないものであることは間違いないが。しかし、別にくだらなくたって構わないのである。だって妄想なんだから。自由だから。
妄想、というとくだらなく聞こえるが、イマジネーション、というとちょっとカッコよく見える。イマジネーションの翼を広げて、なんつって。
長嶋有は、妄想の翼を広げる。妄想の翼で、「飛行機の一部が女」というような、なんだかよくわからない空まで飛んで行く。そしてその様はいちいち愉快で小気味いい。
妄想することは、現実を違った目線で眺めること、とも言い換えられる。ともすればそれは、批評的態度、という文学に欠かせない態度にもなりうる。あくまで、なりうる、というだけであって、なるべき、というわけではない。妄想はあくまで自由なものだから。