2023-01-01から1年間の記事一覧
一億三千万人のための『論語』教室 (河出新書)作者:高橋源一郎河出書房新社Amazon 論語についての事前知識は、中国の昔の文章、という程度だった。孔子が関わっているかどうかもあやふやだった。 孔子といえば、中国の昔の思想家として、孟子とか荘子とか老…
ぼくらの戦争なんだぜ (朝日新書)作者:高橋源一郎朝日新聞出版Amazon 戦争(主に第二次世界大戦)について書かれた詩や小説、教科書などを読みながら、戦争について考える本。 第一章「戦争の教科書」。日本の現代の教科書と第二次大戦中の教科書、近年のド…
世界でいちばん透きとおった物語 (新潮文庫 す 31-2)作者:杉井 光新潮社Amazon どうやら話題になってるらしい、と前々から気になっており、たまには話題の本も読んでみるか、という気が起こったので手に取った。 核心的なネタバレはしないが、周辺的なネタバ…
あなたは今、この文章を読んでいる。:パラフィクションの誕生作者:佐々木 敦慶應義塾大学出版会Amazon わたしは今、この文章を書いている。 この文章を書いている今の自分の状況を、言葉で表すなら、そうなる。 でも、書き終わった瞬間にその文章は過去にな…
笑犬楼vs.偽伯爵作者:筒井康隆,蓮實重彦新潮社Amazon 主に筒井康隆の近著という理由で手に取った。 蓮實重彦のことはあまりよく知らなかった。 どちらかというと、堅苦しい文章で小難しいことを言うめんどくさそうな年長の批評家、というイメージだった。 自…
筒井康隆を読まなければなぁ、という気持ちが常にある。 なぜかといえばもちろん筒井康隆はスゴイからである。 どの小説を読んでも面白い。『虚人たち』のような実験的な作品。『文学部唯野教授』のように文学理論を解説する作品。はたまた『時をかける少女…
ガラスの街(新潮文庫)作者:ポール・オースター新潮社Amazon ポール・オースターの小説は結構前に『ティンブクトゥ』を読んだことがある。今回が2作目。rhbiyori.hatenablog.jp 柴田元幸といえばポール・オースター。そしてポール・オースターと言えばまず…
ベルセルク 42 (ヤングアニマルコミックス)作者:三浦建太郎,スタジオ我画,森恒二(監修)白泉社Amazon マンガ『ベルセルク』が無料公開されていたので再読。途中からは手持ちの本や電子書籍で。younganimal.com 昔読んだ時は、ガッツのヒーロー的な活躍にば…
名著の話 僕とカフカのひきこもり (角川学芸出版単行本)作者:伊集院 光KADOKAWAAmazon NHKの番組『100分de名著』で取り上げた本と、番組でその本を紹介した専門家を再び呼び、レギュラー出演者である伊集院光との対談を収めた本。 伊集院光は、あえてその本…
近現代作家集 III ((池澤夏樹=個人編集 日本文学全集28))河出書房新社Amazon 読みたくない本を読みたい、と思った。 あるいは、読みたい本を探して読む、という行為に限界を感じた、と言うべきか。 とにかく、自分自身では選ばないような本を読みたい気分に…
村上春樹の100曲 (立東舎)作者:栗原 裕一郎,藤井 勉,大和田 俊之,鈴木 淳史,大谷 能生立東舎Amazon 村上春樹の小説作品に登場する楽曲の中から100曲をピックアップ。楽曲の背景、小説上での用いられ方、そしてその含意・ニュアンスを解説した本。 巻末に、全…
HUNTER×HUNTER モノクロ版 37 (ジャンプコミックスDIGITAL)作者:冨樫義博集英社Amazon なにかお金を使わず自分の好きなことだけをして時間を潰したい、と考えた結果、『HUNTER×HUNTER』暗黒大陸編を読み返すことにした。現在37巻までコミックス刊行中。 一般…
文体練習作者:レーモン・クノー朝日出版社Amazon とあるごく些末なエピソードを、手を変え品を変え、多種多様な99パターンの文体で書いた本。そういう本がある、ということは昔から知っていたが、手に取るのは初めて。 はっきりいって最初は読みにくかった。…
みみずくは黄昏に飛びたつ―川上未映子 訊く/村上春樹 語る―(新潮文庫)作者:川上未映子,村上春樹新潮社Amazon 訊き手、川上未映子、語り手、村上春樹。小説家同士のインタビュー本。 『職業としての小説家』などでも語られていた創作論が中心的内容。様々…
フリースタイル言語学作者:川原繁人大和書房Amazon 表紙と本文をチラ見して、面白そうな本だなぁ、と思って手に取ったのだけれど、以前ポケモンの名前の研究でバズって、ライムスター宇多丸のラジオにも出ていた人だということに後から気づいた。 最近はラジ…
坊っちゃんの時代 : 1 (アクションコミックス)作者:谷口ジロー,関川夏央双葉社Amazon 他のことにリソースを割くようになったのでこの読書ブログを書く時間が無くなり、書き方の感覚もだいぶ無くなってしまった。 読書は一応しているが熟読というほどでもな…
やがて哀しき外国語 (講談社文庫)作者:村上春樹講談社Amazon 再読。途中何度も「この本読んだことあるかも」と思いつつ読み終え、読書記録サイトをチェックしたら2015年に一度読了していたことが判明。 既視感のある話が出てきても、別の村上春樹関連本の引…
ペット・サウンズ (新潮文庫)作者:ジム フジーリ新潮社Amazon アメリカのバンド、ビーチボーイズが1966年に発表したアルバム『ペット・サウンズ』はロック史に残る名盤とされている。音楽雑誌が行う「ロックの名盤ベスト100」的な企画では、ほぼ確実にトップ…
しらふで生きる 大酒飲みの決断 (幻冬舎文庫)作者:町田康幻冬舎Amazon 酒。飲まずにはいられないもの。という自分は酒は飲まない。 理由は、自分のような人間が酒を飲みだしたらいよいよ終わりだな、という確信があるから。自己評価の低み。今ではすっかりぼ…
書き出し「世界文学全集」河出書房新社Amazon 小説の書き出しを読むのが苦手だ。 何の予備知識もないまっさらな状態で、文章を読み始めなければならない。与えられる情報はせいぜい表紙と著者名のみ。そこからその文章が何を伝えようとしているのかを汲み取…
ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論 (星海社 e-SHINSHO)作者:千葉雅也,山内朋樹,読書猿,瀬下翔太講談社Amazon 自分はブログを書いている。いちおう10年以上。普段は別のブログをメインで書いている。このブログは読書感想用。数年間あまり本を読…
いつもそばには本があった。 (講談社選書メチエ)作者:國分功一郎,互盛央講談社Amazon 哲学者の國分功一郎と、思想史学者の互盛央が、哲学や思想に関する本にまつわる記憶を中心に、様々なテーマで語り合う。 形式としては「往復書簡」に近いが、互いが互いに…
日本のジーパン (光文社新書)作者:林 芳亨光文社Amazon 昔、リゾルトのジーンズ「710」を履いていたことがある。家族が筋トレしすぎて足が太くなって履けなくなったのでお下がりで貰った。 めちゃくちゃ履きやすかった。当時はリーバイス501ばかり履いていた…
増補改訂版 「アニメ評論家」宣言 (ちくま文庫)作者:藤津 亮太筑摩書房Amazon 普段アニメをあまり観ない自分が、アニメにまつわる本書を手に取ったのは、著者がラジオ番組『アフター6ジャンクション』に定期的に出演し、アニメについてトークするのをたびた…
面白く読んだ本だけれど、なんだか感想を書くキーボードを叩く指が進まない。 「批評王」に批評されてしまう! という感じがする。 というのはあくまでもののたとえであって、実際に著者が直接殴り込んでくるとかそういうことを心配しているわけじゃない。絶…
池澤夏樹と池澤春菜が親子である、という事実は、『スティルライフ』を読み、『ケロロ軍曹』を観ていたネットオタクの自分としては、結構ものすごいことではあった。 が、イマイチ世間的に騒がれていない印象があった。両者の分野に結構な距離があったからだ…
『1998年の宇多田ヒカル』を読了。著者のことはポッドキャスト番組『三原勇希 × 田中宗一郎 POP LIFE: The』で知った。ここ数年、読書から遠ざかっていた自分にとって主たるカルチャーの供給源は専らラジオやPodcastだった。1998年の宇多田ヒカル(新潮新書…
かれこれ20年くらい、夕食後に1杯のドリップコーヒーを飲むのが習慣になっている。改めて考えてみると実に長い。最近は目覚めのインスタントコーヒーも日課になっている。 今年の2月、ふと思い立ち、粉末のレギュラーコーヒーではなく、初めて焙煎された豆の…
暖かくなってきて活動的になり読書を再開。気になっていた小説を読む。今村夏子『むらさきのスカートの女』。著者の小説を読むのは『こちらあみ子』以来2作品目。ネタバレありの感想。 近所でよく見かけるむらさき色のスカートを穿いた女性と、それを観察す…
ライムスター宇多丸の「ラップ史」入門作者:宇多丸,高橋 芳朗,DJ YANATAKE,渡辺志保NHK出版Amazon 先日ヒップホップの歴史の本を読んだので、さらに続けて知るために手に取ったのが本書。 2018年1月にNHK-FMで放送されたラジオ番組「今日は一日"RAP"三昧」と…