rhの読書録

とあるブログ書きの読書記録。

2013-01-01から1年間の記事一覧

けっこうわかりやすい日本文学史(大人にはわからない日本文学史 / 高橋源一郎)

最近このブログに読書メモを書くのが辛い。なぜかと考えてみるに、ついつい「メモ」を超えたことを書きたくなってしまい、ハードルが上がってしまって書くのが難しくなっているんじゃないかと思われる。だから今後はあくまでもメモ、という体裁をキープして…

切なくて、美しくて、とてつもなくいろいろなものを含んだ小説(ミヤザワケンジ・グレーテストヒッツ / 高橋源一郎)

これはメルヘンだな、と読み終えて思った。直感で。 短編集であり、中には完全なリアリズムと読めるものもあるけれど、にも関わらず、全編通してメルヘンだな、と感じた。その意味でこの本は、メルヘン(と言っていいのか厳密なところはよく知らないけれど)…

日本の「空気優先主義」について(日本辺境論 / 内田樹)(再読)

『日本辺境論』を再読。日本辺境論 (新潮新書)作者: 内田樹出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2009/11メディア: 新書購入: 29人 クリック: 793回この商品を含むブログ (349件) を見る 日本が太平洋戦争で泥沼の戦いへと突き進んでいったのは、軍部に『そういう…

一億総ポエム化社会がやってくる(ポエムに万歳! / 小田嶋隆)

ポエムに万歳!作者: 小田嶋隆出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/12/04メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る 小田嶋隆の最新コラム集。ポエム集ではない。断じてない。そして相変わらず面白い。 ここで言う「ポエム」というのは、単なる「詩…

絶品の文章に、かわゆい猫たち(猫のよびごえ / 町田康)

猫のよびごえ作者: 町田康出版社/メーカー: 講談社発売日: 2013/11/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (2件) を見る 町田康の猫にまつわる随筆最新刊。「猫にかまけて」「猫のあしあと」「猫とあほんだら」に続く四作目。他に、犬目線で書かれた「スピ…

なんだかわからないけどすごく大事なことを言っているような気がする(若者よ、マルクスを読もう / 内田樹・石川康宏)

せっかく書見台を買って書き写しがやりやすくなったのだから、引用多めにしようと思ったものの、読み終わってからどこを引用しようと思っていたのか忘れてしまった。付せんを使うか、いっそ読みながら気づいたところを逐次書き写すようにすべきだろう。こっ…

その濡れた手で何をつかむのか(想像ラジオ / いとうせいこう)

いとうせいこうという人がなんだか気になるのである。 小説は『ノーライフ・キング』しか読んでいないし、CDを聴いたこともないし、『シルシルミシル』も見ていない。でもなんとなく気になる。ノーライフキング (河出文庫)作者: いとうせいこう出版社/メーカ…

ブレのない研究本(村上春樹 イエローページ / 加藤典洋)

村上春樹 イエローページ〈1〉 (幻冬舎文庫)作者: 加藤典洋出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2006/08メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 13回この商品を含むブログ (29件) を見る なぜ人は小説を読むのだろうか。と、あえて大げさなことを言ってみる。 様々な…

魔法陣グルグルの正当続編(魔法陣グルグル2(1) / 衛藤ヒロユキ)

中学生の頃、初めて遊びにいった友達の家に『魔法陣グルグル』があったので、みんながいろいろやっている間中ずーっと読んでいるという、いちばんやっちゃいけないことをやってしまった、という話はもうブログに書いただろうか。ずっとブログを書いていると…

村上春樹の面白さ

今日は加藤典洋の村上春樹本をずっと読んでいた。すごく面白い。村上春樹 イエローページ〈1〉 (幻冬舎文庫)作者: 加藤典洋出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2006/08メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 13回この商品を含むブログ (29件) を見る 最近本を読む…

村上春樹の成長潭(村上春樹の短編を英語で読む1979~2011 / 加藤典洋)

村上春樹の短編を英語で読む1979~2011作者: 加藤典洋出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/08/26メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブログ (7件) を見る 村上春樹の作風について、「デタッチメントとコミットメント」という言葉がよく用…

人は皆、恋愛ジャンキーである。(性交と恋愛にまつわるいくつかの物語 / 高橋源一郎)

性交と恋愛にまつわるいくつかの物語 (朝日文庫)作者: 高橋源一郎出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2010/11/05メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 37回この商品を含むブログ (11件) を見る 誰も読んだことのない「恋愛小説」を書こうと思った。もちろん…

失踪日記2 アル中病棟 / 吾妻ひでお

失踪日記2 アル中病棟作者: 吾妻ひでお出版社/メーカー: イースト・プレス発売日: 2013/10/06メディア: コミックこの商品を含むブログ (154件) を見る 『失踪日記』の続編。前作を面白く読んだ人なら、きっと今作も面白いはず。失踪日記作者: 吾妻ひでお出版…

『社会派ちきりんの世界を歩いて考えよう / ちきりん』を読んで

ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法作者: ちきりん出版社/メーカー: イースト・プレス発売日: 2011/01/20メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 30人 クリック: 1,118回この商品を含むブログ (141件) を見る 『ゆるく考えよう』を読んでから、…

ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法 / ちきりん

ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法作者:ちきりんイースト・プレスAmazon ちきりん。前々からスゴイな、と思っていたが、本書を読んで、やっぱりスゴイな、と認識を新たにした。 なにがスゴイかって、まず文章が上手い。シンプルにして的を得て…

君が代は千代に八千代に / 高橋源一郎

君が代は千代に八千代に (文春文庫)作者: 高橋源一郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2005/09/02メディア: 文庫 クリック: 26回この商品を含むブログ (36件) を見る カート・ヴォネガットの作品を表現するのに「人類への愛と絶望に満ちた」なんていうよう…

官能小説家 / 高橋源一郎

官能小説家作者: 高橋源一郎出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2002/01メディア: 単行本 クリック: 2回この商品を含むブログ (16件) を見る 久しぶりに、面白すぎて書くことが思い浮かばない。ついでに原因不明の頭痛を絶賛患っているため、ますます書けな…

Think Simple―アップルを生みだす熱狂的哲学 / ケン・シーガル (著), 林 信行 (監修), 高橋 則明 (翻訳)

シンプルとは何か。 それは、複雑さを退けることである。 それにしては、ページ数が多過ぎるんじゃないか、と思った。以上。 と、本のテーマに合わせてシンプルにレビューを終わらせてしまってもいいんだけれど、これでは手抜きとなんらかわりないので、もう…

最近の図書館って本当に便利

本を読むために、もう何年も図書館を利用している。 文庫本程度なら買って読めばいいが、ハードカバーとなると一冊2000円や3000円は当たり前。「これで二日分の食費がまかなえるな」などと思うとどうしても手が伸びなくなる。 そこで図書館。なにしろタダで…

偽文士日碌/筒井康隆

偽文士日碌 (単行本)作者: 筒井康隆出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2013/06/27メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る ある意味、読みづらかった。 旅行先としてさまざまな地名が出てくるが、地理に明るくない僕にはチンプンカンプンだった、…

大人のための文章教室/清水義範

大人のための文章教室 (講談社現代新書)作者: 清水義範出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004/10/20メディア: 新書購入: 6人 クリック: 118回この商品を含むブログ (86件) を見る 読んだ本についてブログに書く、ということを三年以上続けているが、いまだに…

顰蹙文学カフェ/高橋源一郎・山田詠美

顰蹙文学カフェ作者: 高橋源一郎,山田詠美出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/06/06メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 128回この商品を含むブログ (44件) を見る 図書館で『官能小説家』を借りるために本棚から取ろうとしたら、隣にあったでついでに借…

嘘みたいな本当の話 [日本版]ナショナル・ストーリー・プロジェクト/選:内田樹・高橋源一郎

嘘みたいな本当の話 [日本版]ナショナル・ストーリー・プロジェクト作者: 内田樹,高橋源一郎,ほしよりこ出版社/メーカー: イースト・プレス発売日: 2011/06/23メディア: 単行本(ソフトカバー) クリック: 32回この商品を含むブログ (9件) を見る 投稿された…

小説の読み方、書き方、訳し方/高橋源一郎 柴田元幸

小説の読み方、書き方、訳し方 (河出文庫)作者: 柴田元幸,高橋源一郎出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2013/04/05メディア: 文庫この商品を含むブログ (6件) を見る 高橋源一郎という人は不思議な人で、評論を書く時はむちゃくちゃわかりやすい文章を書…

日本文学盛衰史/高橋源一郎

日本文学盛衰史 (講談社文庫)作者: 高橋源一郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2004/06/15メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 35回この商品を含むブログ (97件) を見る 坪内逍遥、二葉亭四迷、そして夏目漱石、森鴎外。かれらが日本における近代文学成立に多…

修行論/内田樹

修業論 (光文社新書)作者: 内田樹出版社/メーカー: 光文社発売日: 2013/07/17メディア: 新書この商品を含むブログ (3件) を見る 内田樹という人の書く本は、ところによりなんとなくアヤシイ。なんかオカルトチックなことを言うことがあるし。 しかしどうにも…

うなぎのダンス/いしいしんじ

うなぎのダンス (河出文庫)作者: いしいしんじ出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2008/10/03メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 2回この商品を含むブログ (17件) を見る 世の中には、いかがわしい人、と呼ばれるタイプの人種が、一定数存在するらしい。…

あ・だ・る・と/高橋源一郎

あ・だ・る・と (集英社文庫)作者: 高橋源一郎出版社/メーカー: 集英社発売日: 2002/01/18メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (9件) を見る 「アイエエエエ!?ナンデ!?」と、読むと思わず叫びたくなる。それが高橋源一郎の小説の特徴であ…

身体で考える。/内田樹・成瀬雅春

身体で考える。作者: 内田 樹,成瀬雅春出版社/メーカー: マキノ出版発売日: 2011/06/15メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 27回この商品を含むブログ (24件) を見る 内田樹の本が好きでよく読む。しかし成瀬雅春がかつて出来たという「空中浮揚」というの…

9条どうでしょう/内田樹,平川克美,小田島隆,町山智浩

昨2012年に、自民党が憲法改正草案を発表した。 seisaku-109.pdf なんだかいやな感じである。国民の権利を縛り義務を増やそうとしているように見える。っていうか、自民党の議員が実際そのような旨の発言をTwitter上でしている。コワい。 私には政治がわから…