- 作者: 衛藤ヒロユキ
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2012/03/12
- メディア: Kindle版
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『魔法陣グルグル』三度目のアニメ化が決定したらしい。めでたいことである。1期はリアルタイムで見ていたなぁ。2期は対象年齢から外れてしまった感じだったので見なかったけど。
それに伴い、ガンガン系のマンガアプリ「マンガUP!」で原作が期間限定で全話無料配信中*1だったので、この土日を利用して久しぶりに読み返してみた。確か単行本を全巻持っていたはずなのだが、引っ越したときに置いてきてしまったらしい。
久しぶりに読む魔法陣グルグルはやはり面白かった。笑えたし感動した。「王女の愛が…アヒルマンを生んだ」のところで、初めて読んだときと同じように爆笑出来たことそのものにも、少し感動した。
自分にとって魔法陣グルグルは、非常に思い入れのある作品だ。ちょうど物心つくあたりで触れ初めたので、情操教育に最も影響を与えたマンガと言っていいかもしれない。ニケ・ククリ・ジュジュ・キタキタ親父といった面々は幼い自分にとって友達のような存在だった。
しかし幼さゆえに「全巻買って追いかけよう」という発想が無く、月刊連載で単行本の発売間隔が長かったのもあって(当時は1年間なんて無限に感じたものだ)だんだん意識からフェードアウトしていってしまった。
その後、連載が終了して数年経ってから改めて全巻買い集めて読み直した。幼い頃から読んでいたマンガが完結したのは感慨深いものだった。
そんな魔法陣グルグル、ずっとギャグマンガという認識だったが、改めて読み返してみると実に様々な側面が見えてくる。
まずあえて指摘するまでもなくラブコメ要素が非常に多い。そもそもグルグルという魔法が恋心によって発動するものだし、ニケとククリは常にイチャイチャしているし、レイドが出てきて三角関係だし、ジュジュもククリのことが「好きかもしれない」だし。
幼い頃からの刷り込みで特に気にしていなかったことだが、今から初めて読む人にとっては「ラブコメギャグマンガ」という印象が近いかもしれない。
それとメルヘン要素もとても多い。童話や絵本のようなエピソードがよく出てくるし、少女マンガ的なククリの「ポエム」シーンも頻出する。ギップルが「クサイ」と言っていなくてもクサイシーンは結構多い。それがこのマンガの魅力でもあるのだが。
物語的な部分で言うと、このマンガにおける「ククリにとってのグルグル」は「クリエイターにとっての創造行為」のメタファーになっている。このこと指摘している人があまりいないのは野暮だからだろうか。
創造という営為に対する作者自身のスタンス(「ドキドキ」や「夢想」や「子ども心」)を反映させることで、魔法陣グルグルの物語がただのギャグマンガに留まらぬ深みを獲得しているのは間違いないだろう。うん、やっぱり野暮だな。
もっとずっと細かい部分でもいろいろな発見があるのが楽しい。
ニケの「うめぼし大名」というギャグ(?)が実は作中で2回出ていることだとか、背景に書かれた「ダンスフロアに~」という文字が小沢健二の「今夜もブギー・バック」だったりとか、全編に渡って思っていた以上に「ヨンヨン」に頼っていることとか、ニケの「貴様らにそんな玩具は必要無い」というセリフがストライダー飛竜のパロディだったりとか。挙げていけばキリがない。
その流れで現在連載中の『魔法陣グルグル2』も一気に読み返したのだが、こちらも改めて通して読むと、ギャグのテンポが良くキャラも立っていて、また新しい魅力に気づいた。新作アニメを期待して待ちたい。原作のどのあたりをアニメ化するんだろうか。
魔法陣グルグル2 (1) (デジタル版ガンガンコミックスONLINE)
- 作者: 衛藤ヒロユキ
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2013/07/22
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*1:配信当初は「毎日無料で溜まるポイントを支払って読む」という、他のマンガアプリ同様のシステムだったのだが、広告などで「無料」と謳ってしまったため、運営側のお詫びとして無料公開という形になったらしい。