rhの読書録

読んだ本の感想など

ウメハラコラム 拳の巻 -闘神がキミに授ける対戦格闘ゲーム術-/梅原大吾


 アーケードゲーム雑誌『アルカディア』に連載中の、ウメハラこと梅原大吾のコラムを収録。
 以前出た『勝ち続ける意志力』がゲームをやらない一般人にもわかりやすい内容だったのとは違い、この本では具体的な格闘ゲームの攻略法(上手な波動拳の撃ち方とは?等)についても詳しく語っている。格闘ゲーマーに嬉しい一冊。
 勝ち続ける意志力 世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」/梅原大吾 - 思考だだ漏れノート
勝ち続ける意志力 (小学館101新書)

勝ち続ける意志力 (小学館101新書)



 どんな勝負事にも、セオリーというものが存在する。勝ちにこだわる人ほど、より多くのセオリーを探そうと努力するものだろう。
 しかし、本当に勝とうと思う人ほど、このセオリーという奴の厄介さを知っているのではないかと思う。多分。
 セオリー、というのは、あくまでも言葉、言語化されたものである。それに対し、勝負というのは現実の、実際の、(人の心理も含めた)物理的なものであり、数限りない不確定要素を含んでいる。ゆえに、セオリーだけで100%勝負に勝つことは出来ないし、ときにセオリーと正反対のことが起こりうるのが勝負の世界である。
 それでも、セオリーというのはやはり無くてはならないものだと思う。なぜか。
 多くの場合勝負の世界とは、限られた時間内での選択の連続である。そのわずかな選択のミスが、勝敗を大きく左右したりする。
 失敗が重なり焦ってしまうと、普段はしないようなミスをして勝負に負けてしまう。では、限られた時間内で出来るだけ正しい選択をするためには何が必要かと言えば、失敗に動じない冷静さであろう。
 常に冷静でいるための方法として、精神力を鍛えるというのは一つの方法だろうが、もう一つ、自分の中にセオリーを持つという方法がある。
 一度失敗したときに、そのことに対するセオリーを持っておけば、「今回はセオリーどおりにやれなかったから失敗したのだ、次はちゃんとやろう」とか、あるいは「今回はたまたまセオリーが外れたけど、やったこと自体は正しかったのだから、次も同じようにやろう」と冷静に考えることが出来る。


 というのは、家庭用ネット対戦オンリーの三流格闘ゲーマーの「ぼくのかんがえたさいきょうのりろん(笑)」ではあるのだが、ここで何が言いたかったかと言うと、僕程度の人間でも、色々なことを考えながら格闘ゲームをプレイしている、ということである。
 今まで、ゲーマーによる、こういった勝負論のようなものが本となって出版されること自体が少なかった。それが、プロであり一流格闘ゲーマーであるウメハラによるものが、単行本として読めるというのだから、いい時代になったものである。
 数多の自己啓発本の類いと同様に、読めば即座に能力がアップする(この本で言えば格ゲーが上手くなる)というわけではないが、「強くなるためには頭を使うことも必要」ということを教えてくれる良書である。でも、ガンストはあんましやりたいとは思わないんだよなー。