- 作者: みうらじゅん,児童館の子どもたち,一般財団法人児童健全育成推進財団,NPO法人アーティスト・イン・児童館
- 出版社/メーカー: 飛鳥新社
- 発売日: 2015/10/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
質問
なんで大人もケンカするの? 9才・男(香川県)
答
喧嘩が始まる原因はさまざまですが、大概は嫉妬です。
この世には羨ましがられてる人間と、羨ましがってる人間がいます。
前者はケンカをふっかけないのですが、ふっかけられることがあります。
それは「いや、おまえもすごいと思うよ」などと
思ってもいないフォローをするからです。
本屋で試し読みした所、この部分にいたく感銘を受けたので思わず買った本。
みうらじゅんの出ているNHKの番組「笑う洋楽展」を毎週見ているが、そこでも見受けられるような氏の魅力が満載である。
実際に寄せられた子どもの質問にみうらじゅんが答える、という本なのだが、ズバリと本質を突くような回答と、ナンセンスの極みみたいな回答が混在している。
質問
なんで人は生きているの? 6才・男(福島県)
答
死んでない限り、
生物というものは必ず生きているからです。
この本を読んで、人生の指針を得たと思うのか、それとも面白い本だと笑って済ますのかは、読む人次第だろう。そしてこの本は、そのどちらでもあるのだろう。この文を読んで「コイツ適当なこと言ってるな」と思ったアナタ、正解です。
「まえがき」の
「なんで?」と、聞かれてもうまく答えられないことだってある。考えに考えた答を言った時、
大概、子どもは聞いていない。次の「なんで?」を言いたいだけだから。
でもこれだけは言っとくよ。真理はあっても人生に正解などないってことは。
ま、それでも聞いてくれないだろうけど。
という文章が、この本の全てなのかもしれない。すなわち、回答の内容よりも、回答することそのものが大事なのだ、と。
しかし子どもだからといって、テキトーに考えたテキトーな回答をしても、そのテキトーさは大抵子どもにバレてしまうものである。自分が子どもだった頃の記憶から言えば。
その点みうらじゅんの回答は、一見テキトーなことばかり言っていないように見えるが、実際には本当のこと=真理しか言っていない。
本当のこと、というと、真面目なこと、と決まりきっていると思うかもしれないが、実際はそうではなく、本当にもその場その場で違った本当があり、人それぞれの本当がある。
みうらじゅんという人は、硬いもの、柔らかいもの、太いもの、細いもの、短いもの、長いもの、といった様々な本当を使い分けることが出来る人なのかもしれない。本当かどうかはわからないけど。