rhの読書録

読んだ本の感想など

バガボンド(35)/井上雄彦

バガボンド(35) (モーニング KC)

バガボンド(35) (モーニング KC)


 水のように、とらわれない。言葉で理解するのは簡単だが、それを体現するのは実に難しい。
 人は変化を恐れる。成功しようと思う人ほど、一回の成功にとらわれ、そのやり方に固執してしまう。
 あらゆるものは変化する。ならば、本当に必要なものを、見て聞いて感じて、柔軟に対応することが、うまくいくコツなのだろう。
 しかし、武蔵が求めているものは「うまくいくコツ」といった、人生という刺身のツマ程度のものではなく、天下無双であり、今巻でそれは「天下無双の先にあるもの」へと変化する。
 だから武蔵は、水の流れと戦い、田畑を耕す。この世のあらゆるものと向き合い、知ろうとするのである。