- 作者: 松岡正剛
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2006/12/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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松岡正剛が大学で行った講義を元に書かれた、誰にでもわかる易しい人間文化論。
世界と日本の文化の歴史を、著者専門の「編集工学」を用いて読み解いている。
例えば、初期の日本文化は、日本各地の物語を「古事記」や「日本書紀」として編集することで発展していった、というように。
著者のねらいは、歴史の転換点でどのような情報の編集が起ったか、なぜそのような編集が起こったか、そしてその編集が文化に何をもたらしたか、という観点で歴史をひもとくことだと言える。
なぜ、編集がそんなに大事なのか。
一つには、権力の歴史がすなわち権力者による情報編集の歴史であるということ。
争いに勝つため必要なのは力だ。しかし、勝って支配するためには己に有利になるような情報操作が欠かせない。
もう一つ、弱者の歴史もまた、編集と無縁ではないということだ。
弱者が強者と対等に渡り合うためにも、情報編集能力は必要だ。
というと、なんでもかんでも「編集」かよ、といいたくなるかもしれない。
ある意味その通りだ。
編集とは、ここの情報を見るのではなく、情報同士の関係性を見て、情報同士に対角線を引くような、そんな態度のことだからだ。多分。
世の中では想像力というものが安易にもてはやされているが、対象をどのように知り・感じるか、そして知り・感じたものをどのように表現するかという、編集的能力を考慮すべきなのかもしれない。