rhの読書録

読んだ本の感想など

落ち込んでいる人にオススメしたい本5選

 先日友人から「最近気分が落ち込んでいるので、そういうときにおすすめの本はありませんか?」とメールで聞かれた。本はそれなりに読むけど人生経験は少ない僕がそんな相談に乗れるのだろうか?と少々考えこんでしまったが、まぁ難しく考えても仕方ない、ということで、読んだことのある本の中からよさそうなものを数冊選んで紹介した。

 そのときに、「コレ、ブログのネタにできんじゃね?」と思いついたのがこの記事を書いたキッカケ。人が落ち込んでいるというのに不謹慎なヤツである。

 経験上、本を読んで気分が軽くなる、ということは確かにある。でもそれは、その本自体が人の心を軽くする「薬効」のようなものを持っていたというわけではなく、読む人とその本との相互作用によって生まれた「何か」によって起こる回復効果であり、いわば副作用のようなものなのではないかと思う。

 なので、誰が読んでも癒される本などというものはあり得ない。誰が食べても美味しい食べ物が存在しないのと同様である。

 でも「自分が読んで癒やされた本」を誰かに紹介するということは、たとえ紹介された人がその本を読んで何の感興も得られなかったとしても、「本を読んで癒される」ということがこの世に起こりえるということを示したことにはなるのではないだろうか。

 というような前置きはいいとして、さっそく紹介していこう。

東大卒プロゲーマー / ときど

東大卒プロゲーマー (PHP新書)

東大卒プロゲーマー (PHP新書)

 東大卒というエリートへの道を捨てて、プロゲーマーという道無き道を選んだ男、「ときど」。彼がプロゲーマーという生き方を選ぶに至った道のりを、自ら綴った本。日頃からゲームに親しんでいる人で、自分がやろうとしていることに自身が持てない人にオススメ。果たしてプロゲーマーという職業が日本で成立するかどうかは未知数ではあるが。

のはなし / 伊集院光

のはなしし

のはなしし

 キャリア20年を超える深夜ラジオのパーソナリティー・伊集院光によるエッセイ。いわゆる「ラジオの伊集院」よりも下品さは控えめだが、話術の達人たる彼の持ち味は存分に生かされており、絶妙。一話が短く、テーマ的にもいい意味で軽い話が多いので、気分転換によいかと。四巻出ているがどの巻から読んでも平気。

失踪日記・失踪日記2 アル中病棟 / 吾妻ひでお

失踪日記

失踪日記

失踪日記2 アル中病棟

失踪日記2 アル中病棟

 『失踪日記』は、ある日仕事を放擲して失踪したマンガ家・吾妻ひでおが、自身の送ったホームレス生活々を淡々と、時にユーモラスに描いたエッセイマンガ。
 そして『失踪日記 2 アル中病棟』は、その後アルコール依存症になり入院した彼の、病院での日々を描く続編である。
 いずれも一般的には壮絶と言われるような体験だが、まったく悲壮な感じが無く、むしろ「人間なんて案外どのようにでも生きていけるんだな」という勇気をもらえる本である。「ん?この勇気、もらって大丈夫?」とちょっと不安な気分にもさせてくれる。

子どもの頃に読んだ本

小説ドラゴンクエスト5―天空の花嫁〈1〉 (ドラゴンクエストノベルズ)

小説ドラゴンクエスト5―天空の花嫁〈1〉 (ドラゴンクエストノベルズ)

 小学生の頃に読んだ『小説ドラゴンクエスト5―天空の花嫁』を、ハタチくらいの時に買い直して読んだところ、非常に感慨深い読書体験となった。自分が子どものころに読んだ本をもう一度読みなおしてみると、なにかが見つかるかもしれない。
 小説ドラクエ5の場合、「大人になった主人公が、自分が子どもだった頃の過去に戻って死んだ父親に会う」という展開があるため、それが自分の「子どもの頃に読んだ本を大人になって読む」という読書体験とシンクロしたために、より感動したのかもしれない。

ノルウェイの森 / 村上春樹

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

 失恋で落ち込んでいる人には、ベタかもしれないがコレを薦めたい。村上春樹の小説は単行本に収録されていない「街と、その不確かな壁」以外は全て読んでいるが、僕にとっては最初に読んだノルウェイの森が最高傑作である。この小説のせいで、僕の恋愛観はすっかり変えられてしまったと言っても過言ではない。恋愛なんて全然してねーけどな!!
 いや、本当はオススメしたい、というわけではなく、単純に僕の中で「失恋=ノルウェイの森」という構図が出来上がっているために思いついただけなのかもしれない。ちなみに「不倫=国境の南、太陽の西」という構図も出来上がっている。
 村上春樹の小説は、決して明るい話が多いとは言えないが、不思議と読むと元気になるという人が多いように思う。肯定する人だけでなく、むしろ批判する人の方が元気に見えるのは僕だけだろうか。