rhの読書録

とあるブログ書きの読書記録。

「坊っちゃん」の時代 / 関川夏央 谷口ジロー

 他のことにリソースを割くようになったのでこの読書ブログを書く時間が無くなり、書き方の感覚もだいぶ無くなってしまった。

 読書は一応しているが熟読というほどでもなく。ちゃんと読まないと書けなくなるのは当然の流れ。

 まだこのブログに専念できるわけではないが、ちょっとした息抜きに最近読んだマンガについて書く。



 Kindle Unlimitedが2ヶ月99円になっていたので契約。『孤独のグルメ』の谷口ジローの諸作が読めるので読んでいる。

 『坊っちゃんの時代』を読んだ。明治時代、夏目漱石とその時代を基にしたフィクション。方向性は異なるが、高橋源一郎『日本文学盛衰史』が思い起こされる。

 書くことによって癒やしを得ようとした漱石の姿。過ぎ去っていく時代と人。そういう切なさが心地よい読後感だった。自分も最近疲れ気味だったので、読むべきタイミングで読めた気がする。

 多分にフィクションが含まれているので、始めて本作で明治時代の人や事件を学んでよいのかという疑問はあるにはあるが、マンガとしての面白さには関係ない。



 夏目漱石の偉業は、日本に近代文学を普及させたこと。ドラゴンクエストが日本にRPGを根付かせたことと似ているのかもしれない。和魂洋才、というキーワードひとつとっても。

 RPGがそうであるように、文学もまた小説というジャンルにおけるひとつのサブジャンルになっているようでもある。とにかく欧米に学んでいれば良かった時代が終わったからだろうか。日本が成長したからではなく、なにが正解かがわからなくなってしまったから。

 などと、大して詳しくもないのに「〇〇は終わった」などと言うのはそれを愛好する人にとって嫌なことなのでやめた方がいい。

 むしろそれらは、形を変えて受け継がれている、と言ったほうが実態に近いのだろう。以前ほどわかりやすくはないものの、ジャンルの源流として何かしらの影響を残し続けている。本作によってそういったものに触れることができるはよいこと。