本屋で『喫茶店で松本隆さんから聞いたこと』という本を見つけ、「そういえば松本隆の本って読んだこと無いな」と手に取って目を通したら心に残るものがあり、もうちょっと厚い本にしよう、と思って読み始めたのが本書『松本隆 言葉の教室』。
松本隆の作詞に対する考えや、名曲を作ったときのエピソードが語りおろしで語られていく。
俳句や短歌のように抑制された言葉数。平易な言葉によって世界を作り上げつつ、美しい日本語をちりばめる。五感に訴えかける。そんな松本隆の歌詞世界は、彼の語り口にもにじみ出ている。
「言葉の教室」というタイトルから想像されるようなレクチャー的な内容というより、インタビュー集に近い体裁だが、松本隆の語りの力と、引用される歌詞の力によって、読むだけで松本隆の歌詞世界に深く入り込むことができる。
記憶力がある。そして言葉に対する感度が抜群に高い。作詞家になるべくしてなった人、と思わされるようなエピソードが自然に転がり出てくる。まさにレジェンドである。
この本の感想を書こうとしても、松本隆作詞の曲を聞きたくなり、聞いているうちにそっちの世界に意識が向かってしまい、なかなか手が進まなくて困っている。
「星間飛行」、いい曲だよなぁ。自分の世代のネット文化を代表する曲だ。アニメは見たことないけど。最近の中島愛のライブ、すっかり大人になったなぁ。この本で星間飛行は紹介されてないけど、45周年トリビュートアルバムには収録されているから、ちゃんと思い入れのある曲なんだな。
スピッツがカバーしていた「12月の雨の日」や「タイム・トラベル」。草野マサムネ名義の「木綿のハンカチーフ」もある。などと調べていたら共作の「水中メガネ」という曲を初めて知った。めちゃくちゃいいじゃん。
そんなことをしていたら時間が過ぎていく。
いや、それがこの本の正しい読み方なのかもしれない。読みながら聴く。聴きながら読む。そうして松本隆の言葉の世界に浸る。そんな言葉の旅に出たいならオススメの本。