rhの読書録

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ラオスにいったい何があるというんですか?紀行文集 / 村上春樹

ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集

ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集

 村上春樹の最新紀行文集、つまり旅行記をまとめたもの。

 わりと前に衝動的にkindleで買ったものを積ん読ならぬ「積んdle」していたのをようやく読了。最近の本だと思っていたが単行本の初出は2015年。時の流れよ。

 村上春樹の紀行文集で読んだことがあるのは『遠い太鼓』と『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』の二冊。

 『遠い太鼓』は、『羊をめぐる冒険』や『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』で売れっ子作家になり多忙を極めた末、そこから逃れるように海外を点々とした日々(と、本人は書いていないが虚心に読めばそう捉えるのが自然だろう)の厭世的な気分が出ていてかなり好きだった。

 それと比べると本書は、老齢に差し掛かりつつある作家が悠々自適に旅をした記録、という印象を受ける。それを読みたいと思うかはアナタ次第である。

 以前から村上春樹読者からすると、『遠い太鼓』で訪れたギリシャのミコノス島やスペッツェス島(あのヴァンゲリスさんは亡くなったそうだ)、イタリアのトスカナ、さらに(どの本か忘れたが)エッセイで触れていたボストンなどを再訪しているため、読む側としても懐かしさを感じる。

 また全国的に大人気で関連商品が大量流通しているくまモンに対する見解など、彼らしい批評眼、というかちょっとナナメな目線が垣間見れたりもする。