rhの読書録

とあるブログ書きの読書記録。

思想地図β vol.2

思想地図β vol.2 震災以後

思想地図β vol.2 震災以後


 震災後、東浩紀という批評家に対する風当たりは震災前より強くなった。少なくともネット上においては。何故だろうか。
 震災後、東浩紀が東京から逃げ出したものの、疎開先の静岡で震度6強の地震に見舞われた、というエピソードに、何故か個人的に強い印象を受けた。何故だろうか。
 何も僕は東浩紀氏を批判したいわけではない。そこまで氏個人に対して興味が有るわけじゃないし、ありあわせの言葉で誰かを批判することほど無意味で非生産的なことは無い。
 それよりむしろ、なぜ東浩紀という人が批判を集めなければならないのか、ということの方に興味がある。
 個人的には東浩紀さんの書くものが好きだ。敬称をどうすればいいか決めることができないほど優柔不断だけど好きだ。『クォンタム・ファミリーズ』は面白く読んだ。『動物化するポストモダン』は難しすぎてよくわからなかった。
 本書において東氏は、「震災後のあるべき日本の姿」を語っている。スゴイ。視野が広い。オタクについて語っていた頃が嘘のようである。
 東氏本人もおそらくそのことに自覚的であるようで、「ゼロ年代批評の時代は終わった」というようなことを書いている。
 かつてありがちだった東浩紀批判に、「東はオタクのことを何もわかっちゃいない」というのがあった。まぁ、オタク批評家にはありがちな批判であって、大塚英志岡田斗司夫(は批評家じゃないけど)も同じような批判にさらされてきた。
 そんな東氏が、日本のこと、社会のこと、政治のことを語り始めた。だから「東は日本のこと、社会のこと、政治のことを何もわかっちゃいけない」的な批判にさらされるようになった、と仮定してみるのはどうだろう。うん、話がすっきりする。
 あまりに理路が単純すぎて心もとない。もう少し考えてみよう。
 と思ったが、東氏が『一般意志2.0』について語ったインタビューを見てなんかどうでもよくなってきた。もっと面白い文章を読みたい。
「一般意志2.0」が橋下市長の“独裁”を止める?―現代思想家、東浩紀インタビュー(BLOGOS編集部) - BLOGOS(ブロゴス)