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【読書メモ】養老孟司の大言論II 嫌いなことから、人は学ぶ / 養老孟司

養老孟司の大言論II 嫌いなことから、人は学ぶ (新潮文庫)

養老孟司の大言論II 嫌いなことから、人は学ぶ (新潮文庫)

 巻末にある内田樹との対談に釣られて買った本。

 養老孟司の本は読むのはほぼ初めて。確か『バカの壁』は一応読んだはずだが、全く内容を覚えていない。

 さっそく読んでみると、難しい本である。よくわからない部分もたくさんある。でも面白くてすぐに読んでしまった。わからないのに面白い、という本に出会える機会はなかなか無い。

 普通の人とは全然違う発想法をしているのに、妙に説得力がある。常識や科学的な厳密さにとらわれない、いい意味で野蛮な思考、という感じ。これは本が売れるわけである。

 タイムリーな話題なので、憲法九条に関する部分を抜粋してみる。

 若い政治家たちが憲法改正をいう。どうも第九条が気になるらしい。本音をいえば、私は気になって当然だと思っている。ただ、それを「改正して」「改正したんだから、どんどん軍を利用しよう」なんて、潔白な気持ちで思われたら、たまらない。外国に軍隊を出すのなら、ぜひ「どこか後ろめたい気持ちで」、やってほしい。それが侵略戦争の反省であろう。政治家が後ろめたい気持ちがまったくなしに「軍を動かす」ことを始めるなら、私はトンデモナイという。そもそも戦争なんてトンデモナイのである。

 このような話が、突然ひょいっと登場したりする。「話が飛んでいる」とも言えるが、その飛んだ部分が面白い。自由に話が飛ぶ感じが、風通しの良さとして読者に伝わってくる。

 僕自身、この本を読んで、なにか大事なことに気づいたような感じがするんだけど、まだうまく説明出来なさそう。

 人間とはモノである、とか、意識とはある意味余計なものなのだ、とか、そんなようなことなんだろうけど。言葉にしてしまうと凡庸かもだけど。