rhの読書録

読んだ本の感想など

スタジオパルプ / 久米田康治

スタジオパルプ 1

スタジオパルプ 1

 久米田康治が白泉社の雑誌「楽園」に連載中の作品。電子版がなかったので本で購入。巻頭カラーページが主人公のグラビア風で大変オシャレなのが良い。ちなみに楽園は年三回刊行というヒジョーに珍しい形態の雑誌。


 主人公の「役者丸ひろ子」は役者になることを目指し撮影所へ。そこにいたのは久米田作品のキャラクター達。

 しかしどこにもスターがいない。なぜならここはB・C級スターだけが集う撮影所だから。

 そう、スターシステムはスターシステムでも、「ダメスターシステム」だったのだ!(という自虐ネタ)


 「スターシステム」を謳う通り、過去の久米田作品のキャラが登場。

 作者本人が恒例のあとがきで語っている通り、テイストは「かってに改蔵」に近い。というか話数を重ねるごとに近づいていっている。「さよなら絶望先生」のキャラが出て来る「改蔵」と言った方が近いか。

 一応キャラクター達は俳優という設定で、「高橋」や「山田」といった平凡な名前が与えられているのだが、結局オリジナル作品での性格を引き継いでいるあたり、設定がぶれぶれではある。

 猟奇的な名取羽美、動物好きの小節あびる、謝ってばかりの加賀愛など。

 しかし懐かし「あのテイスト」が再び味わえるというだけで往年のファンにとってはたまらない作品。実に感慨深いものである。いやホントに。

 まるで成長した改蔵たちや絶望少女達に会っているような気分。にしても絶望先生が終わったのが5年前も前だなんて…(絶望)。

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 作品が進むにつれて主人公の出番が減っているのは気がかりなところ。そもそもただの狂言回しでキャラが無い。気がついたらフェードアウトしていてそれがネタになったりしそう。

 絶望先生でメインポジションだったカフカがいないのもちょっと気になる。伏線だろうか?

 月刊マガジンで連載中の「かくしごと」がマンガ家をテーマとした作品なのに対し、こちらは芸能ネタが多く登場。執拗な長渕剛イジリには笑った。

 しかしモノによっては風化しやすいのが芸能ネタの難しいところ。第一話の雑誌掲載は2015年なので、もはや懐かしさすら漂う。

 少年誌連載だった作品と比べるとバイオレンス描写がほんのりダイレクトになっているのは、媒体の違いなのだろう。羽美ちゃんを筆頭に女性キャラのサイコ度が増していて良い。


 実はいろんなところで連載や原作をやっている久米田先生。正直言ってこの作品を月一ぐらいで読みたい気持ちはあるが、「かくしごと」の方も面白いので痛し痒し。っていうか最新刊チェックしてなかった。読もう。

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